止めの一撃

無神論神学において然して重要とも思われない不可逆性・他力性の問題を小田垣が取り上げるのは、それらが神の対象化という錯誤を犯している危険があるからであろう。かれは第4章「キリスト教と仏教」を、止めの一撃のような言葉で締めくくっている。「人間の絶対に対する関係は可逆性しかありえない。そのことの中にこそ不可逆性の真意がある」