贖罪死批判

マルコがイエスの行状を物語形式で書いたのは、その行状すべてが、イエスがキリストであることの証しだと考えたからである。つまりイエスはキリストであるという告白は、けっして贖罪に集約されるものではない。贖罪死観は歴史性を隠蔽する。マルコは、エルサレム教団が唱えた贖罪死説すなわちイエスの死を贖罪死に特化することを批判したのである。