マルコの告発

私はマルコが政治性・社会性において受難物語を採り入れたと考える。たしかにマルコの描くイエス像も革命家的なものではない。が、あとにつづく福音書がイエスの死から、その政治的革命性を脱色させていったのに比べれば、最初の福音書であるマルコには、政治性・社会性が強いのである。それはそもそもマルコの福音書の意義が、イエスの死の矮小化に反発したところに成立したことからも言える。