「実在」への問い

人類の根源に宗教的事象がある。それらは様々な形態をとって世界各地に現われ展開していったことだろう。それらの営みにはすべて「言葉」が働いていたことを押さえておかなければならない。そうした営みの中から神についての思惟がなされるようになっていった。神について思惟するとは、神を対象化し問題とすることである。そのようなことがいつごろからなされるようになったのか、私にはよく分らないが、いずれにせよインドやエジプトやオリエントのような地域で始まったのであろう。それは存在の根源としての「実在」を問うことであった。それが神学の始まり、あるいは哲学の始まりである。