神の実在 2

たしかに神の実在とは言葉によって呼び出された人間的本質である。しかし神を人間が創り出した幻想にすぎないとみるだけなら(誤まりではないが)、それで終わりである。それでは神的なものと共にあった人類の歴史・文化を説明することはできない。人類の歴史も文化も、ただの虚構なのではない。人間にとって神は「実在」として存在し得るばかりではなく、現に実在もする。人間が「精神」をもつかぎり、神は実在するのである。