自由の原型イエス

西洋の歴史ひいてはその影響を受けた非西洋の歴史においても、イエスは自由の原型となってきたのではないだろうか。おそらく自由のかたちはみな史的イエスのヴァリエーションなのである。イエスの処刑は敗北であるが、復活はそれを勝利に変えている。負けるが勝である。ヨハネ福音書に「この世には苦難がある。だが勇気を出せ。私はすでに世に勝っている」(16:33)とある。この世界における人間の自由はどれもみなこういうかたちで勝ち取られてきたものである。その希望を支える根拠はイエスにあったのである。