騙りの来歴 3

絶大な権威(権力)をもつに至ったキリスト教は、神の絶対的権威にもかかわらず、その不可侵の権威を人間に、すなわちを法王や世俗の王に賦与した。神の権威は引きずり降ろされた。それはあまりに人間的な仕業であった。そこでは神の権威と人間の(見かけの)権威が混ざり合い、一方では聖なる世界・美の世界を現出するかと思えば、他方では異教徒や異端者を血祭りにあげ、人間的自由を抑圧するという恐るべき世界を現出させた。