言葉の他者性

言葉の発生には人間の咽喉から発せられる音声が関わっている。だが考えてみれば咽喉は自分のものではない。なぜ私に咽喉があるのか説明できる者はいない。また咽喉から発する音声の物理的(身体的)メカニズムは説明できても、それが言葉となることを説明できる者はいない。音声と音声の組合せによって言葉(概念)が生成されるが、phaとphaを組み合わせるとなぜ「母」なる概念が生まれるのか説明できる者はいない。要するに言葉には始原から不可解(不思議)さがつきまとっているのである。それが言葉の神秘であり、他者性というものである。