ナザレ人イエス

ナザレ人イエスについての詳細は不明であるとしても、かれがローマ支配下ユダヤに、いやそのユダヤにおいてさえ差別されていた北イスラエルガリラヤに生を受け、家業の大工として身を立てながら、おそらくは一時期ヨハネ教団にも関係していたであろう求道期間を送り、やがてガリラヤで貧困者(非差別者)と交わりながら「神の国」を説いて回ったこと、しかしかれの言動がユダヤの権力体制(神殿体制)に著しく抵触したことによって極刑に処されたこと……そのようなことは分っている。