十字架による贖罪

ナザレ人イエスについての概要はともかく、かれがイエス=キリストとされるに至ったのは、十字架刑による死が決定的な契機となったことは言うまでもない。イエス=キリストとは、十字架上に死んだ人間イエスがキリストであると告白されたことを意味している、といっても過言ではない。その十字架は、ふつう贖罪のためと解釈されている。すなわち神に対する人間(人類)の罪(負債)を、イエスが自らを犠牲とすることによって、神に贖って(あがなう=買い取る)もらうこと、それが贖罪である。しかもそれを債権者である神が一方的に行ったということで、贖罪死は神の愛が最高のかたちで示されたことを意味する。