贖罪死観

贖罪死という教義は、ユダヤ教伝来の救済史観に基づいている。ユダヤ教は、自分たちが神から離反したことを罪であると自覚したところに成立した宗教であるが、メシア思想はその一環にあって、キリスト教はそれを継承し、それがイエスにおいて成就したとする。ただしユダヤ教の罪意識が共同体的・社会的なものであるのに対して、キリスト教では個人的・内面的なものになっている。この違いは小さくはないが、いずれ触れる機会もあろう。とにかく、イエスの死を罪からの解放とする贖罪死観には一定の根拠がある、と言うことはできる。