同じ穴のムジナ

エス・イメージを見直すのに、イエスの顔のほかに、聖書の言葉づかいということも考えられる。そもそも福音書を書くために使われた古い伝承にはイエスの神格化はなかった言われる。それもそうだが、私たちが読む福音書では敬語が用いられているので、ますます行儀のよいものになっている。しかし本当はもっと素朴で直截で、ときには野卑な言葉さえ使われていたかもしれない。マタイにある「姦淫」の言葉など、上から目線で放たれるような言葉ではない。「お前たちだって同じ穴のムジナなんだぜ」と言っているに違いないのである。