マルコによるヨハネ・ユダ像の定着

マルコの独創は特筆に値する。が、そのマルコにして、バプテスマのヨハネはイエスの格下として位置づけられ、彼の処刑もサロメ(ヘロディアの娘とある)の「おねだり」ということで始末されている。そして後半を占める受難物語において、ユダは型どおりの裏切り者として、末路さえ不明のまま、始末されている。ヨハネにせよユダにせよ、マルコが描いた人物像が原型となって、つづくマタイやルカに踏襲され定着したことを思えば、マルコがとくに「革命家イエス」を描いたわけではないことが分かる。