非閉鎖的キリスト論の試み

新しい史的イエスの探求はブルトマン批判を軸に展開した。小田垣はその批判者たちの論点を緻密な考察によって逐一要約・吟味していく。その批判の中心にあるのが「史的イエスと信仰のイエスの間の緊張関係」であるが、批判者たちの試みはいずれも成功しているとは言えない、というのが小田垣の結論である。第3章の章題が「非閉鎖的キリスト論の試み」とあるのは、そのためである。