意識と言葉

意識とは何ものかに対する意識である、と言われる。意識の志向性である。だがこの意識とは何だろうと考えると、思い至るのが「言葉」である。私たちが考えるのは、言葉によってである。言葉なしには考えること、思うことはできない。恋愛でさえ、生殖(本能)ではなく、文化の産物である。つまり言葉がつくる世界である。人間も生物の一種である以上、言葉以前の世界でも生きている。だが、それは人間とは言えない。人間は言葉によって、人間に成ったのである。でなければ人間は自分が「人間」であることすら認識できない。