神なる言葉2

「母」とは、それが対象に名付けられると同時に成立した概念である。それ以前に、対象は在っても概念はなく、したがって「母」は存在しなかったのである。ではそもそも対象として存在しないものに対して名づけられた言葉はどうか? 竜が架空の生物であることは誰でも知っている。だが言葉として「竜」なる概念はある。その限りで竜は存在する。では神はどうか? 母のように対象としてすでに存在しているのか、それとも竜のように架空のものなのか? いずれであるにせよ、神は、言葉(概念)としては、存在する。言葉の世界では、竜が生きているように、神も生きている。そして私たち人間は、言葉以外に神を知ることはできない。その意味で、神とは言葉である。