お金(言葉)のリアリティー

マルクスは『資本論』において、物と物との交換からお金(貨幣)が生まれてくるプロセスを説明しているが、お金とはじつに不思議の極みである。自然界には存在せず、焼くにも煮るにも役に立たないのに、人間界では、人間の物質的生存に不可欠なものとして「実在」する。このお金もまた、まずは概念(言葉)としてあるものだが、それがこれほどの威力を発揮するところに、お金の、いや言葉の絶大なリアリティーがある。