言葉の他者性1

言葉の不思議の根本には、それが自分の発したものであっても、自分のものではないということがある。たしかに人間は言葉を使って自分の意思を表わすことができる。しかしそうした言葉でさえ、言葉そのものは自分のものではない。人間は誰のものでもない言葉を使って、自分の意思を表わしているのである。これを言葉の他者性という。言葉は本来的に「他者」なのだ。