言葉と感動1

太陽、月、星、あるいは山、海、あるいは樹木、岩、あるいは生と死(再生)からなる生命現象……そのような自然界にある物象や現象を前にしたとき、おのずから発せられた感動が言葉の始まりかもしれない。では人間以外の生物にも感動はあるのだろうか? 感動に似た感応はあるかもしれない。だが人間はその生物的感応をいつしか言葉に変換した。それが感動だとすれば、言葉と感動とは同時一体のものとして表出されたものとみることができる。それはまだ十分に言語化されてはいないカオス(混沌)状態にあったが、対象に対する畏怖の感情は生じていたであろう。言葉の起源にはこの畏怖の感情があって、それが前言語状態をなしていた。