パスカルの希求

言葉によって呼び出された超越者=神。その神に向かって人間は祈願する。しかし始原にあっては神は個人のものではなく共同体のものだったであろう。共同体のアイデンティティとして確かな根拠を与える者こそ神であった。やがてそれは個人の根拠ともなってゆく。パスカルは虚空(無限空間)に置かれた個人の実存に戦慄した人である。「わたしをここにおいたのは誰なのか?」これが神に対する希求でなくして何だろう。