神との対話

神との対話と言っても、神の声が直に聞こえるわけではない。それを期待するのが信仰なのでもない。神の実在とは竜や麒麟のような架空に造形されたある形(形象)をいうのではない。神は言葉において在ることはすでに確認したとおりである。(5/24)しかし言葉は単なる主観ではなく、他者性を具えており、呼びかけることの中に、他者=神を呼び出すことが含まれている。「私」と発すれば対象化された私が呼び出されるように、「神よ」と発すれば神が呼び出されるのである。