存在と存在者

言葉は存在と存在者との関係によって生まれる。それは「花がある」というように表わされる。「ハナ」と言うだけではまだ素材にすぎない。「ある」によって、ハナは存在を得ることができるのである。だが「ある」(存在)も、それ自体として在るのではない。それ自体は無である。「ある」とは透明な器である。そこにハナ(存在者)が活けられたとき、ハナは「花」となり、無なる器であった「ある」が在るようになる。言葉は本来的にそういうものである。