無いことにおいて有る神

無−存在である神、すなわち「無いことにおいて有る神」は、それ自身としては現れようがない。絶対他者なる神と言えども、そのように表現するのは人間である以上、絶対ではあり得ない。神無くして人間は生きられないというなら、神もまた人間無くして存在し得ないのである。小田垣はそれをこう記している。「神の絶対他者性を人間が言葉で表現する時、それは人間の認識の中に捉えられた絶対他者であって、としては正しくとも、としてはその神は絶対他者ではないという事情がある。」(第3章)