核を欠く

『哲学的神学』における最も理論的な章である第3章、その内容をめぐって考えてきた。とくに「一」という概念は無として有る神を意味した。そしてそれが「自己と不可分」であることも確認した。だが率直に言って分かり難い。なぜ「無い」ものが「有る」のか、自己と不可分なら、それは結局独我論ではないか ― そんな疑問が残るからである。もちろん傾聴すべき説明はある。だが回りくどいというか、持って回ったというか、そんな印象が拭い去れない。なにか重要な核を欠いているからである。